
そこで今回から、さまざまな失敗談を基に、ローンを組む際に陥りがちな落とし穴や注意点についてシリーズで紹介していきます。第1弾は、最長返済期間でローンを組み、繰り上げ返済をして早めに完済しようとした計画がうまくいかなかった事例です。なぜ、こんな事態に?
「定年までにローン返済を終えて、老後はのんびり趣味を楽しもうと思っていたのに、このままじゃ退職しても返済が続きそう・・・困ったなぁ」 田中さんがマンションを購入したのは今から4年程前。東京・江戸川区の地下鉄駅から徒歩10分の新築マンションです。
「もちろん物件は気に入ってます。でもね、ローンのことを考えると気が重たいんですよ」と田中さん。
その理由は、定年退職後も毎月約12万円の返済が続く予定だから・・・。


4年前、田中さんが購入を考えていたのは価格3300万円の物件Aでした。
「頭金が500万円あったので、2800万円のローンを組めば毎月12万784円、30年で返し終わるはずだったんです」
ところが、購入の申込み直前、近所を散歩中になんとなく入ってみたのが物件Bのモデルルーム。
「Aよりも駅に近くて広い。建具や床材のグレードも高くて、もう、ひと目惚れでした。400万円も高くなってしまうのですが、でも、どうせ買うなら気に入ったもののほうがいいかな、という気持ちにもなって・・・」
価格の高さに迷う田中さんの背中を押したのが、モデルルームの営業マンだったのです。
「物件Bなら借り入れが3200万円で、30年返済だと毎月15万円以上。当時の家賃が12万円でしたから、さすがに月3万円の出費増は無理だと思ったのですが・・・。モデルルームで試算してもらって、『35年返済にすれば返済額を12万円台に抑えられます』と言われ、ついその気に」
当時30歳の田中さん。35年返済を選べば返済が終わるのは65 歳。60歳で定年退職しても、ローン返済は5年も残ることになります。でも、物件Bに惚れ込んだ田中さんは、
「繰り上げ返済をがんばって返済期間を短くしよう」
「これから年収も上がるはずだから、だいじょうぶ」
と自分に言い聞かせ、価格の高い物件Bの購入に踏み切ったのでした。

それから4年。田中さんは、まだ一度も繰り上げ返済をできずにいるそうです。
「ローン返済だけでなく、管理費や修繕積立金が毎月出ていくことを忘れていました。それに、繰り上げ返済用のまとまった資金はなかなか貯まらないものですね。年収も今後上がるかどうかわからないし・・・。正直いって、今後、繰り上げ返済はできるのか、できなければ定年退職後の家計はどうなるのか、不安です」
・繰り上げ返済は具体的な金額と期間で試算すべし
では、今後、田中さんが返済期間を短縮して定年退職までに完済するには、いつ、いくらの繰り上げ返済をすればいいのでしょうか。
たとえば、1年後から約100万円ずつ繰り上げ返済をしていくと、繰り上げ返済4回目の2012年3月には返済期間が合計5年9カ月短縮できます(図参照)。つまり、35年返済で借りたローンを、29年3カ月で完済できるということ。
でも、今の田中さんには、これだけの繰り上げ返済をするのは難しそうですね。

田中さんの失敗は、長期の返済期間を設定したことよりも、繰り上げ返済ができるかどうかを具体的に検討しなかったこと。年収アップが見込めない場合や、今後、教育費など出費が増える場合は、定年退職前に完済できる返済期間にするか、ローンを返しながら繰り上げ返済用の貯金もできる借入額に抑えることが大切です。
なお、繰り上げ返済で短縮できる期間は、金額とタイミングで違ってきますから、金融機関でシミュレーションしてもらうといいでしょう。
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