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失敗に学べ! 住宅ローンの落とし穴 その3
繰り上げ返済しすぎて、借り換えられない!?
「繰り上げ返済すると、支払うはずだった利息を大幅に減らせます。積極的に、どんどんやりましょう」といった“繰り上げ返済推進派”は、けっこう多いようです。でも、何ごともやりすぎは禁物。あとさき考えずに実行すると、こんな落とし穴が・・・
情報提供日/2008年3月26日
Shippai File.3
「ちょ、貯金が全部、頭金に変わっちゃったんだよなぁ・・・今さら一部屋いらないからお金返してなんていえないし・・・」 「頑張って繰り上げ返済した後に、低金利のローンに借り換えようと思ったんだけど、あ、あれ? こんな壁があるなんて・・」

 山本さんが選んだ住宅ローンは、完済まで金利が変わらない完全固定金利型。
「変動金利型ならもっと低金利だったのですが、もしも将来、金利が上がったら・・・と思うと不安で。返済額は多くても変わらない安心感を選んだんです」。早く完済してしまうことで、将来の生活にも余裕が出るだろうと繰り上げ返済もがんばりました。ところが、そのがんばりが、思わぬ失敗を招くことに!

将来の安心のため、繰り上げ返済で返済期間を短縮
山本さんの資金計画1

 4年ほど前に一戸建てを購入した時の借り入れ額は3000万円。金利3.5%の完全固定金利型の住宅ローンを利用しました。
「何よりも優先したのは将来の安心でした。返済額は毎月約15万円でラクではありませんでしたが、完全固定金利型だから返済額はずっと一定。金利の動向にハラハラしなくてすむ、というのが魅力でした」

金利が高い分は、繰り上げ返済をすれば利息を減らすことができるし、返済期間を短くすることで将来の生活にゆとりが生まれるのではないかと思い、山本さんは繰り上げ返済用の資金づくりもがんばりました。
 そして、購入から3年後には約400万円を繰り上げ返済。返済期間を4年5カ月も短縮したのです。返済額は毎月約15万円のままですが、残りの返済期間は17年7カ月に。

「55歳で完済の予定だったのが、50歳でローンから解放されることに。その効果の大きさにはびっくりしました」と山本さん。ところが、その後、予定外の転職で山本さんは窮地に・・・。

短くなった返済期間のため、借り換えができない!

「勤務先の倒産で転職したら、年収が100万円もダウンしちゃって・・・」と肩を落とす山本さん。

 毎月約15万円の返済額が家計に大きな負担となるため、山本さんは今よりも金利の低い住宅ローンに借り換えて毎月返済額を減らすことを検討。ところが、民間の住宅ローンでは、借り換えの時の返済期間が、借り換え前の残存返済期間の範囲内で設定されることが多く、山本さんの場合、残金約2298万円を17年以内で返済する計算になります。

山本さんの資金計画2

「金利2.875%の変動金利型への借り換えを検討したのですが、17年で返すと毎月返済額は14万2562円。借り換え前とあまり変わらないんですよ・・・」(※1)

 そのうえ、年収が450万円にダウンしているため、年収負担率が38%に。「年収400万円以上は年収負担率35%以下」という金融機関の基準をオーバーし、借り換え自体ができないことに!

 返済期間がもっと長ければ返済額を少なくし、年収負担率をクリアすることもできたのですが、繰り上げ返済で残り17年と短くなっていた返済期間が借り換えの壁になってしまったのです。

※1:現在、変動金利型住宅ローンは、固定期間選択型の金利よりも低金利のケースが多い。優遇金利を利用すると低金利になる固定期間選択型もあるが、将来の金利上昇リスクの幅が大きいため、山本さんは変動金利型での借り換えを検討した。

 山本さんが約400万円の繰り上げ返済をした時、期間短縮型ではなく返済額軽減型の繰り上げ返済を実行していれば、残存返済期間は21年5カ月。毎月返済額は12万8439円で、年収負担率は34%。年収が450万円にダウンしても借り換えが可能でした。
 利息が多く減るのは期間短縮型ですが、将来、年収ダウンや、支出アップの可能性がある人には、返済額を減らすタイプの繰り上げ返済のほうが安全な場合もあります。

「貯金があれば、借り換えではなく返済額軽減型の繰り上げ返済をして毎月の返済額を減らすこともできたのですが、最初の繰り上げ返済で貯金を使い果たしてしまって・・・。借り換えに必要な諸費用の工面が難しいというのもネックになりました」と山本さん。
 返済をラクにしようとして懸命に実行した繰り上げ返済が、家計を苦しくするなんて皮肉な結果です。

今月の教訓
・貯金のすべてを繰り上げ返済にあてず、万が一の時のお金を確保しておくべし
・年収ダウンの可能性を考えて、毎月のローン返済額はゆとりをもって設定すべし

 残存返済期間の短さが壁になって借り換えが 難しい場合、どんな解決策があるのでしょうか。
 フラット35では、収入の変化などで返済が負担になった場合、返済期間の延長や一定期間の返済額減額が認められるケースもあります。返済中の金融機関に問い合わせてみましょう。銀行など民間の住宅ローンの場合は、借入先の金融機関によって規定や対応が違ってきます。返済に困ったときは、早めに相談するといいでしょう。

 山本さんはその後、借り換えをあきらめ、妻が仕事に復帰して収入を増やすことで毎月の返済を続けていくことにしたそうです。

(イラスト:パイナップル遠藤)

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