住宅ローンを知ろう > 十文字先生の税務講座2007−2007年度税制改正速報!part1

2007年度税制改正速報! part1
07年度税制改正の要綱が1月19日に閣議決定されました。正式決定は国会の承認後ですが、財務省の要綱や自民党の大綱の内容を基に、住宅関連の税制について解説しましょう。
【十文字良二】十文字会計鑑定事務所、税理士・不動産鑑定士
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情報提供日/2007年2月21日
住宅ローン控除に新たな特例が加わった
 今回の税制改正では、目玉となるような抜本的な改正はありません。この夏の参院選を控え、その後の消費税、法人税の改正論議などを見据えた小出しの内容という感じでしょう。個別の内容としては、国際競争力を高め、企業の創意工夫を活かすことを主眼としているようです。
 その中で、住宅・不動産関係では、住宅ローンにかかわる比較的影響力の大きい改正が行われました。
 1つは、従来からある現行の「住宅ローン控除」の枠組みの中で、新たな特例措置が設けられたこと。2つ目は「バリアフリー促進税制」の創設です。パート1では、この2点に絞って紹介しましょう。
 まず、住宅ローン控除の新たな特例は、既存の制度の控除率を引き下げ、控除期間を延長する形で登場しました。
 既存の制度は、住宅ローンを借りてマイホームの取得などをした場合に、ローン残高の一定割合を所得税から10年間に渡って控除するというものです。控除率は当初6年間が1%、残り4年間が0.5%です。07年中に入居した場合は、ローン残高2500万円までが対象で、10年間トータルの最高控除額は200万円となります(08年入居ではローン残高2000万円まで、最高控除額は160万円)。
 これに対して、新たな特例は、控除する期間を5年間延長して15年間として、控除率を当初10年間が0.6%、残り5年間が0.4%としました。07〜08年に入居する場合、既存の制度と新たな特例の選択制となります。
図1.住宅ローン控除に新たな特例
 控除を受けるための要件と、控除対象のローン残高と最高控除額は変わりません。ただ、既存制度が「1年当たりの控除額が大きく、控除期間が短い」のに対して、新特例は「1年当たりの控除額が小さく、控除期間が長い」ということになります。したがって、選択のポイントは、支払っている所得税が多めの人は既存制度、少な目の人は新特例が有利になるといえそうです。
 もっとも、実際にいくら税金を支払っているかによって判断が分かれます。詳しくは、この税務講座で追って解説しますので、お待ち下さい。
 なお、今回の特例の新設には、昨年実施された税源の移譲(国=所得税から地方=住民税へ)という背景があります。住宅ローン控除は所得税にしか適用されません。税源移譲で所得税率が下がり、同じ所得でも支払っている所得税が減ったために、控除額が目減りするケースが発生しました。これを救済する措置といえるようです。既に住宅ローン控除を利用している人に対しても、調整措置が実施されています。
「バリアフリー改修促進税制」が創設された!
 「バリアフリー改修促進税制」は、昨年創設された「耐震改修促進税制」に続いて、中古住宅(既存ストック)の質の向上を図るための税制といえます。前回の税務講座で、耐震改修促進税制は適用条件が厳しく手続きが煩雑だと指摘しましたが、今回のバリアフリー改修促進税制は使い勝手の良い制度のようです。
 同制度は、バリアフリー化を含む工事をするために借り入れたローン残高のうち、一定の割合を5年間に渡って所得税から控除するというもの。ポイントは、対象になる工事費の最低金額が、30万円超と比較的低額なことです。
 前項で触れた住宅ローン控除でも、増改築が対象になっています。しかし、工事費が100万円を超える大がかりな修繕や模様替え、増改築しか適用されませんでした。そのため、実際に利用する例は少なかったのです。今回の新税制は、これまで対象にならなかった小規模なリフォームでも利用できるため、従来よりも裾野が広がることが予想されます。
 利用者の年齢が50歳以上といった条件もありますが、新築住宅を取得してリフォームの需要が出てくる時期を考えれば、それほどハードルは高くないといえるでしょう(図2、図4参照)
図2.現行の住宅ローン控除(増改築)とバリアフリー改修促進税制
 実は、リフォームを実施する場合も、既存の住宅ローン控除(増改築)とバリアフリー改修促進税制の選択が必要になる局面が出てきます。今回の改正に伴って、既存の住宅ローン控除(増改築)の適用対象に、バリアフリー改修促進税制と同様のバリアフリー工事も加わったからです(図3参照)。
図3.一定のバリアフリー改修工事
下記の8種類の工事で、補助金を除く合計金額が30万円を超えるもの
廊下の拡幅、手すりの設置、階段の勾配の緩和、屋内の段差の解消、浴室改良、引き戸への取り替え工事、便所改良、床表面の滑り止め化
 工事費が100万円以下の場合はバリアフリー改修促進税制のみ。100万円を超えた場合に、いずれの制度を利用したほうが得になるか。将来に渡る所得税の支払い額を含めて検討しないと正確な答は出ません。やはりシミュレーションが必要になってくるでしょう。
 また、バリアフリー工事を実施した住宅については、固定資産税の税額が3分の1になる減額措置も創設されました。所得税の控除とは微妙に条件が違いますので注意が必要です。詳しくは図4をご覧ください。
 次回は、住宅・土地関連の残りの改正内容について解説します。
図4.固定資産税を対象にしたバリアフリー改修促進税制(所得税を対象にした特例の要件との違い)
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