住宅ローンを知ろう > 十文字先生の税務講座2007−2007年度税制改正速報!part2

2007年度税制改正速報! part2
前回に引き続き07年度税制改正のポイントについて解説しましょう。マイホームに限らず、広く不動産に関わる内容についても併せてピックアップしてあります。
【十文字良二】十文字会計鑑定事務所、税理士・不動産鑑定士
情報提供日/2007年3月20日
買い換え特例に明暗、期限延長と廃止の動き
 パート1では、住宅ローン控除に関連して新たに創設された税制を中心に解説しました。今回は前回盛り込めなかった少し細かい内容について、整理して紹介しましょう。

 まずは買い換え特例に関わる内容です。
 第1に、『特定のマイホームの買い換え特例』の買い換え先の要件の緩和です。従来は280平米までとされていた床面積要件の上限を撤廃(2007年4月1日以降の譲渡から適用)されました。
 この特例は従来から頻繁に利用されていましたが、面積の上限が撤廃されて大型住宅でも使えるようになることで、活用の幅がさらに広がりそうです。06年末で期限が切れる時限措置でしたが3年延長されました。

 一方、期限のない恒久税制だった『相続したマイホームの買い換え特例』は07年3月末で廃止されます。適用条件が厳しくて利用者が非常に限られていたために、存在意義が薄れたからといえるかもしれません。

 その他、マイホームの取得にかかわる各種の特例や軽減措置は、おおむね期限が延長されています。図1に整理したので参考にしてください。
 なお、法人の事業用資産の組み替え等に密接に関係する『特定資産の買い換え特例』の適用期限も2年間延長になりました。

図1.マイホームにかかわる特例の適用期限延長

減価償却制度や信託税制の改正で、資産運用・相続対策に影響
 マイホームの取引には直接関係しませんが、土地建物にかかわるポイントも触れておきましょう。一つは企業の国際競争力を強化する必要性から、欧米の税制と足並みをそろえるために、減価償却制度を見直したことです。

 欧米ではほぼ100%まで償却できるのがスタンダードです。ところが日本では、耐用年数が経過した時点の『残存価額』を取得価格の10%とし、残りの90%までしか償却できませんでした。
 また耐用年数が過ぎた後も事業に使っている場合に経済的価値は減りますが、それでも最大限95%までしか償却できないという『償却可能限度額』が設定されていたのです。つまり5%は残さなければなりませんでした。取得価額が5000万円の減価償却資産なら、250万円も残ってしまいます。たとえ5%でもバカにならない金額だったのです。

 そこで07年度の税制改正では、残存価額と償却可能限度額をともに廃止し、全額償却できるようにしたのです。廃棄しなければ帳簿上に残っているので、備忘価格として1円を残すことになっていますが、実質100%に近いといえるでしょう。
 さらに、償却方法に定率法を採用する場合は、償却率を定額法(1/耐用年数)の2.5倍の数値で計算できることになりました。これを『250%定率法』といい、従来よりも早く償却できるようになります。

 なお、新制度は07年4月1日以降に取得した減価償却資産に適用されますが、同3月末以前に取得したものでも、従来の償却可能限度額まで償却した翌年度から5年間かけて1円まで均等償却ができるようになっています。税制改正の前後で旧資産の積み残しが発生しないように配慮したのでしょう。

 今回の減価償却制度の見直しは一般法人に影響の大きい税制ですが、賃貸住宅経営などにも関係してきます。たとえば、経費に含まれる建物の減価償却費を以前より多めに計上できるため、結果的に支払う所得税の軽減につながるといえます。

図2.減価償却制度の改正のポイント
 また、今回の税制改正では、新しい信託税制が創設されたことも特徴のひとつ。従来から土地信託、不動産投資信託、遺言信託など、さまざまな信託タイプがありましたが、昨年の信託法改正によって、信託制度の自由度が高まったといわれています。新しい仕組みも登場しているため、時代に即応した信託税制に変えていくという動きでしょう。

 これによって、資産運用や相続対策などが変わってくる可能性が出てきました。不動産や金融業界にとって、今回の税制改正は意外に大きな影響があるといえるかもしれません。



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