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情報提供日/2007年4月25日
従来からある住宅ローン控除を「旧・10年控除」、新しく創設された特例措置を「新・15年控除」と、ここでは仮に名付けて説明します。新旧それぞれの概要は、図1の通り(本誌バックナンバー『2007年度税制改正速報! part1』も併せてご覧ください)。「旧・10年控除」のほうが早い時期に多めの控除を受けられる「太く短く型」。「新・15年控除」は「細く長く型」ともいえるでしょう。
控除期間は違いますが、トータルの控除限度額は2007年に入居する場合は200万円と、どちらも同じ。ずっと利用するなら新旧で損得は変わらないと思うかもしれません。
しかし、これはあくまでも制度の枠組みです。住宅ローン控除は、支払っている所得税の中から差し引かれるものですから、いくら所得税を支払っているかによって、実際に控除される金額が左右されてしまいます。自分が支払った所得税の範囲内から戻ってくるだけで、それ以上の控除はありません。そのため、どちらが有利になるかは、年収など利用者の条件によって変わるのです。
実際に計算して比較してみましょう。4000万円の新築マンションを3200万円の住宅ローンを借りて購入した場合(年利3%、35年返済)、税込み年収600万円、700万円、800万円の人で控除額はどう違うのでしょうか(図2参照)。
家族構成を夫婦と子ども2人とすると、実際に支払っている所得税額は、年収600万円が年間9万9200円、700万円が17万1100円、800万円が26万5700円です(給与所得者の場合で、収入はずっと変わらないものとします)。
実際に控除される金額は、年収600万円の場合に「旧・10年控除」が100万円弱、「新・15年控除」が150万弱と、「新・15年控除」が圧倒的に有利なことがわかります。なぜ、こんな差が出るのでしょうか。
「旧・10年控除」の場合、当初6年間の控除額の上限は25万円ですが、年収600万円の人は10万円弱しか所得税を支払っていません。25万円という枠組みと、実際に支払っている金額との差額が無駄になるのです。「新・15年控除」では、当初10年間の控除額の上限が15万円。枠組みと実際に支払っている金額との差額が少ない分だけ、制度をめいっぱい活用できることになります。
同様に年収700万円の場合も「新・15年控除」がトク。ただし、これは子ども2人を扶養していて所得税額が約17万円の場合の結果です。仮に子どもがいなければ扶養控除がなくなり、所得税額は約26万円になります。その場合は「旧・10年控除」のほうが有利になります。
他にもいろいろな種類の所得控除がありますから、その内容によっては支払う所得税額が変わり、新旧どちらが有利かの結論も異なります。
年収800万円の場合は「旧・10年控除」がトク。控除の金額的には新旧の差はあまりありませんが、早い時期に多く控除できるという時間のメリットを享受できる意味はあるでしょう。ちなみに、800万円の場合も扶養家族が多かったり、他の所得控除があったりすると、支払う所得税額が減ります。所得税額が25万円を下回る場合は「新・15年控除」のほうが有利になります。
所得税額が25万円を超える高額所得者(納税者)なら「旧・10年控除」、それ以下の場合が「新・15年控除」ということになります。つまり年収で考えるより、支払っている所得税額で判断したほうが正確といえるでしょう。
新旧の損得は、年収や所得税額だけでなく、借入金額などによっても左右されます。住宅ローン控除には、対象となるローンの金額にも制限があり、07年に入居した場合は2500万円まで。それ以上の金額を借りていても、2500万円までしか計算の対象になりません。
また、控除額は年末の借入金残高を基に計算されます。返済が進むと借入金残高は減っていきますから、借入金残高が2500万円を下回っている場合、控除額は次第に減っていきます。たとえば「旧・10年控除」では、当初6年間は1%の控除率ですから、借入金残高が2500万円以上残っていれば、控除額は上限の25万円。借入金残高が2000万円なら20万円となります。借入金残高は、最初の借入金額と、年利、返済期間によっても異なります。
以上の点を踏まえて考えると、同じ年収、納税額でも、借入条件によって実際に控除される金額が変わってくることがわかります。計算が複雑になるので詳細は省きますが、一例を挙げておきましょう。
図3は1500万円借りた場合と3500万円借りた場合に、所得税の納税額によって新旧で控除額がどう変わるかを示したものです(借入条件は年利3%、35年返済)。
借入金額が3500万円の場合、所得税の納税額が25万円未満なら「新・15年控除」が有利です。これに対して借入金1500万円の場合は、納税額が14万円以上の人は「旧・10年控除」のほうが有利になります。借入金額が少ないと、年収や納税額が少ない人でも「旧・10万円控除」がトクになる可能性があるわけです。
※今回の試算は「住宅ローン控除」を最大限活用する場合を想定し、条件を単純化しています。実際には、金利の変動、繰上げ返済の有無などにより結論が左右されることもあります。
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