住宅ローンを知ろう > 十文字先生の税務講座2007−バリアフリーのリフォームは、どっちがおトク?

バリアフリーのリフォームは、どっちがおトク?
前回に続いて、所得税が控除される新旧の特例を比較します。今回は、バリアフリー化の伴うリフォーム工事でローンを借りたときに、従来からある「住宅ローン控除」と、2007年度税制改正で創設された「バリアフリー改修促進税制」とでは、どちらがトクになるかを考えてみました。
【十文字良二】十文字会計鑑定事務所、税理士・不動産鑑定士
情報提供日/2007年5月30日
100万円超の工事、返済期間10年以上、50歳以上なら選択が必要
 「バリアフリー改修促進税制」は、30万円を超える一定のバリアフリー改修工事をした場合に、200万円までのローン残高の2%を所得税から控除するという特例です。従来の「住宅ローン控除」との違いを図1に示してありますので、この点をよく押さえておきましょう(本コーナーのバックナンバー『2007年度税制改正速報! part1』も参考にしてください)。
図1.バリアフリー化を伴うリフォームに使える特例の比較
 どちらを利用できるかは3つの条件で変わります。
 第1は、リフォーム工事の金額です。住宅ローン控除の対象は100万円を超える工事ですから、30万円超100万円以下の工事の場合に利用できるのはバリアフリー改修促進税制のみ。
 2つ目は、借入時に設定するローンの返済期間です。住宅ローン控除は10年以上、バリアフリー改修促進税制は5年以上です。
 3つ目は、居住者の年齢等。バリアフリー改修促進税制は50歳未満の場合は利用できません(その他、居住者の条件は図1参照)。
 以上をまとめると、リフォーム工事の金額が100万円超、ローン返済期間が10年以上、年齢が50歳以上の場合に、2つの特例を利用できます。住宅ローン控除とバリアフリー改修促進税制では、控除率と控除期間が異なるため、利用者の条件によって実際に控除される金額が変わり、どちらが有利になるかを比較する必要が出てくるわけです。

大型リフォームをするなら、住宅ローン控除がトク
 どちらを使うほうがトクになるのかは、利用する人の収入状況や借入金額によって変わります。まず50歳の人で、年収700万円と400万円の場合を考えてみましょう(会社員で、収入は変化しないものとします)。
 200万円を借り入れてバリアフリー改修工事をしたケースでは、控除額の上限(総額)は、住宅ローン控除が10年間で10万3500円、バリアフリー改修促進税制が5年間で16万4000円です。実際の控除額も年収による違いはありません。このように金額が低い工事では、バリアフリー改修促進税制を利用したほうが約1.5倍もトクになります。
 バリアフリー改修促進税制の場合、200万円までのバリアフリー改修工事に対する控除率が2%と、住宅ローン控除の2倍です。この控除率の高さをフルに活用できるためといえます。
 これに対して、増改築を伴うような1000万円規模のリフォームでは状況が異なります。控除額の上限(総額)は、住宅ローン控除が約52万円、バリアフリー改修促進税制が51万円です。それほど大きな差はありません。
 バリアフリー改修促進税制では、200万円を超える工事の控除率は1%に減ってしまうため、金額が大きいほど住宅ローン控除との差が縮まります。また、控除期間は住宅ローン控除のほうが長いため、最終的な控除額は住宅ローン控除が多くなるわけです。

 年収による違いも出てきます。年収700万円の場合、実際に利用できる控除額は、控除額の上限と同じ。住宅ローン控除を利用したほうがややトクという結果です。
 一方、年収400万円の場合は、支払っている所得税額が少ないため、実際に控除される金額が減ります。住宅ローン控除の場合は約44万円で、バリアフリー改修促進税制が約34万円。約10万円も多い住宅ローン控除のほうが、明らかにトクとなります。

図2.50歳でリフォームしたときの控除額の違い

定年を控えた年齢でリフォームするなら、バリアフリー改修促進税制がトク
 次に、55歳の人が利用する場合はどうでしょうか。年齢だけで見ると前項とわずか5歳の差ですが、特例の効果は大きく変わってきます。その理由は、定年を挟んで収入や納税額が大きく変化して控除額に影響するからです。
 ここでは60歳定年として試算してみました。昨今の年金の支給開始年齢の引き上げによって、65歳までは厚生年金をベースにした報酬比例の部分年金だけになるため、所得税が発生しない低い所得になるものとして試算しています(生年や加入している年金の種類などによって変わります)。
 借入金額が200万円の場合、控除額の上限(総額)は、住宅ローン控除が10年間で8万1900円、バリアフリー改修促進税制が5年間で16万4000円。住宅ローン控除の控除額が約半分しかありません。
 バリアフリー改修促進税制は定年までの所得が多い時期にフルに控除を受けられるのに対して、住宅ローン控除の場合は、控除期間の枠としては10年間あるものの、60歳以降の5年間は年金暮らしになって所得税を支払わなくなるために、途中で控除を打ち切られるのと同じ形になるからです。

 借入金額が1000万円の場合、前項では住宅ローン控除がトクになる結果が出ていましたが、55歳の人では、バリアフリー改修促進税制のほうが有利になります。やはり、住宅ローン控除では、定年後に実質的に控除が受けられない状態になることが響いているといえるでしょう。
 なお、60歳以降も収入が減らず、一定の収入を維持して所得税を支払っている場合には、住宅ローン控除が有利になるケースもあるかもしれません。

図.3.55歳でリフォームしたときの控除額の違い

 このように、住宅ローン控除とバリアフリー改修促進税制を比較するためには、借入金額や現在の収入だけでなく、将来の収入の変化についても考慮したうえで選択することが重要です。
 やはり、専門家に相談するなどして、個別の状況に応じて実際に試算してみることをお勧めします。


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