


「最高路線価の上昇率が30〜40%を超える地点が続出」といったニュースが、この8月初旬に新聞・テレビ等で踊りました。最高路線価というのは、国税局管内の各税務署の一番高い路線価のこと。

名古屋市西区牛島町・広井町線通りの47.7%、東京都港区北青山3丁目・青山通りの46.6%、大阪市中央区難波5丁目・南海難波駅前の40.8%、福岡市博多区博多駅前2丁目・駅前通りの42.3%など、大都市圏で軒並み上昇率40%超の地点が記録され、局所的にバブルの様相を呈しています。
標準宅地の平均路線価も、全国平均でプラス8.6%と2年連続で上昇しました。東京都区部では平均18.7%の大幅アップ。大阪圏、名古屋圏でも10%近い上昇率を示しています。ただ、地方圏の平均では前年比プラスマイナスでゼロ。県別では30県以上が、いまだ下落しているなど、二極化している状況です。
最高路線価の上昇率がそのままダイレクトに相続税や贈与税の税額に反映するわけではありませんが、税額を押し上げる圧力になっているのは間違いありません。未だにその圧力は弱まっていないのです。
やはり、今後の動きを注意深く見守っていく必要があるでしょう。路線価は国税庁のホームページからリンクしている『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』(http://www.rosenka.nta.go.jp/)というサイトで閲覧できます。
「評価額ってなに? その1」でも紹介したように、相続税と贈与税の評価額は「財産評価基本通達により評価した金額(以下『相続税・贈与税評価額』)」がベースになります。参考のために、その内容を図2〜4に簡単に整理しておきました。
実際にはかなり複雑ですので、ここでは、土地の評価は、路線価に面積を掛け合わせて、一定の調整をするという原理だけを覚えておいて下さい。正確に計算するには、専門家の力を借りないと難しいでしょう。

ここでのポイントは、第一に「小規模宅地等の特例」という土地に関する評価減の制度があること。生活に不可欠な住まいや、生業に必要な店舗や事業所の用地については、最大で8割も評価額を減額してくれる、というものです。
「小規模〜」と出ているように、あまり大きな土地までは対象になりません。住宅用地の場合は240平米まで、事業用地の場合は400平米までです。
また、小規模宅地の特例を受けられる土地が複数ある場合は、減額の効果がもっとも高い土地を選んで適用することが大切。一度、選んで申請すると後から変更できませんので、ご注意ください。

前項は自ら利用している土地、つまり自用地の場合です。土地や建物を借りたり、貸したりしている場合の評価額はどうなるのでしょうか。

図4をご覧ください。まず、借地権の場合は、自用地評価額に借地権割合を掛け合わせた価額になります。つまり借地権割合が低いほど、評価額は下がるわけです。

都心部に近いほど借地権割合が高く評価額が自用地に近くなり、郊外に行くほど借地権割合が低くなるのが一般的。借地権割合は、AからGまでのアルファベットに対応させて、路線価図に記載されています(図5参照)。路線価が「800C」と出ていたら、自用地の場合が「800」(単位は千円=80万円)、借地の場合は「800×70%=560」となります。
土地を貸している地主の側は「貸宅地」の評価になります。1から借地権割合を引いた、いわゆる「底地割合」を評価額に掛ける形です。前述の「800C」なら、「800×(1−70%)=240」となります。
自分の所有地に貸家を建てている場合の土地は、「貸家建付地(かしやたてつけち)」と呼ばれ、[自用地評価額×(1−借地権割合×30%)]という計算式となります。同じ例でいうと、「800×(1−70%×30%)=632」です。完全所有権の自用地よりも低いけれど、貸地よりも高いレベルといえます。
貸家の建物のほうは、自用家屋の7掛けとなります。仮に、家屋の評価額が「200」なら「200×(1−30%)=140」です。
土地と建物を合わせた評価額で比較してみましょう。自宅を所有している場合が[800+200=1000]。貸家建付地と貸家、つまり賃貸住宅を持っている場合は[632+140=772]。全体では、賃貸住宅の評価額は自宅の場合の8割弱くらいになるといえるでしょう。
このように、単なる更地や自宅などを賃貸住宅に替えると評価額が下がることから、賃貸住宅経営には節税効果があるといわれています。相続税対策としてバブル経済の頃は盛んに喧伝されました。
ただ、節税効果だけを狙って、むやみに賃貸住宅を建てることはお勧めできません。他人に土地や建物を貸すと、権利関係が複雑化し、いざというときに処分しにくくなったりする可能性もあります。評価額が下がるということは財産価値も下がるということでもあるという点を忘れないようにしましょう。
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