住宅ローンを知ろう > 十文字先生の税務講座2007−税務署からの『お尋ね』って何?

税務署からの『お尋ね』って何?
マイホームの引き渡しを受けてから数ヶ月、ホッとしている頃、突然、税務署からの通知が舞い込むことがあります。一般に『お尋ね』といわれる書面です。何のために送られてくるものなのでしょうか。その内容と、どう対応すればいいのかについて解説します。
【十文字良二】十文字会計鑑定事務所、税理士・不動産鑑定士
情報提供日/2007年12月19日
購入金額が収入に見合っているかをチェック

 税務署から届く書面には「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」と書かれています。略して『お尋ね』です。「新築、買入れまたは賃借された家屋等についてのお尋ね」と表記されている場合もあります。税務署によって書式が異なることもあるようですが、要は、資産を取得するための資金をどのように準備したかについて確認するための通知なのです。

 なぜ、勝手に通知が来るのでしょうか。
 不動産を取得して新たに所有権が登記されると、法務局(登記所)から税務署へ登記情報の資料が送られるようになっています。税務署では、その登記情報と本人の所得水準を基に、課税上の問題点の有無を確認するために『お尋ね』をするのです。なかには資料収集の一環として、無作為に抽出されて連絡が来ることもあるようですから、全てが問題のあるケースとはいえません。

十文字先生

 マイホームを購入した全員に『お尋ね』が送られるわけではありませんが、それほど珍しいものでもないようです。物件の引き渡し・登記手続きが終わって、数ヶ月から1年程度までの間に届くのが一般的。法律で規定された手続きではなく、税務署ごとに行う任意の“お願い”なので、返送しなくてもペナルティはありません。とはいえ、そのまま放置していると、何度もしつこく通知があったり、電話で問い合わせが来るケースもあるようですから、きちんと回答したほうが賢明でしょう。

どこから資金を調達したか、詳細に聞かれる

『お尋ね』の目的の1つは、資産の購入金額と収入が見合っているかどうかをチェックすること。質問の柱は、次の3つ。

1.購入者本人の収入状況
2.資産の条件と購入価格
3.購入資金の内訳とその調達方法

 質問事項の内容は、下図の通り。収入については、所得金額だけでなく、職業や年齢、税務署によっては勤務先の名称や所在地の記載を求められるケースもあります。共有名義の場合は、共有者の収入状況も詳しく書かなければなりません。
 購入した資産についても、価格の他に、面積や用途、売り主の住所氏名の記入欄もあります。これは、売り主が譲渡税の申告を正しくしているかどうかを調べるための資料にも使われるため。仲介手数料の金額と支払い先を記載するのは、不動産会社の申告書と照らし合わせて税務調査の間接的な資料にするためです。

 資金の調達方法の項目は、特に詳細に渡ります。自己資金のうちの預貯金は、預け入れている金融機関や名義人。贈与を受けた資金なら、いつ、誰から、いくら貰ったか。売却代金を充てた場合は、売却金額、時期、買い手の住所氏名まで。借入金については、金融機関の所在地や名称。場合によっては、借入期間や返済方法、利率、担保の内容まで聞いてくるケースもあります。
 これらの内容に整合性がなければ、問題点があると疑われてしまうのです。

『お尋ね』の項目

 たとえば、収入が低いのに多額の預貯金を持っている場合は、贈与があったのではないか。贈与があれば贈与税の申告を行っているかどうか。基礎控除額110万円を超える金額の贈与を受けた場合や、相続時精算課税を受ける場合は申告が必要です。

 あるいは、元の自宅を売却した代金を充てているのであれば、譲渡税の申告がきちんとなされているのか。借入金については、親子間での貸し借りの場合でも、きちんとした賃貸借契約を結ぶことが必要です。その条件が、常識に照らして妥当かどうか、実態は贈与ではないのかなどの点がチェックされます。

夫婦間の贈与の有無、共有名義に注意
十文字先生

 『お尋ね』で不備が発覚しやすいのは、夫婦や親子間での贈与の問題。たとえば、頭金の大半に妻の預貯金を充てているのに夫の単独名義になっていたり、逆に、妻に収入がないのに夫婦の共有名義になっていたり、各人の出した資金に応じて登記していない場合が該当します。前者は妻から夫への贈与、後者は夫から妻への贈与と見なされます。

 前述の親子間の借り入れについても同様ですが、条件設定に無理があると、贈与と認定されることもあります。たとえば、70歳の親に30年返済で借りるといったケース。通常は平均寿命程度を目安にするべきでしょう。金利設定については、市場金利が現状で1〜4%程度と幅がありますから、一番低いレベルに合わせても問題ないと思います。

 いずれにしても、意図的に隠蔽するような悪質なケースでない限りは、すぐに脱税とされるようなことはありません。問題点が出ても、まず相談を受け付け、必要に応じて指導が行われるのが一般的。資金の出所を明らかにできる記録を整えておけば、ことさら恐れる必要はないでしょう。



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