住宅ローンを知ろう > 十文字先生の税務講座2008−2008年度税制改正速報! part1

2008年度税制改正速報! part1
08年度税制改正の要綱が1月11日に閣議決定されました。正式決定は国会の承認後ですが、財務省の要綱や自民党の大綱の内容を基に、住宅関連の税制について解説しましょう。
【十文字良二】十文字会計鑑定事務所、税理士・不動産鑑定士
情報提供日/2008年1月30日
地球温暖化対策に「省エネ改修促進税制」が創設

 2008年度税制改正では、昨年度と同様に抜本的な改正項目は見あたりませんでした。昨年は参院選を控え、今年は衆院選を控え、いずれも政治的な思惑から、増税のイメージが表に出るような内容に踏み込んでいないという印象です。

図1.「住宅の省エネ改修促進税制」の内容

 それでもマイホームにかかわる分野で、新しい税制が2つ創設されました。1つは「住宅の省エネ改修促進税制」です。
 これは、ローンを借りて省エネルギー性能をアップするためのリフォームを行った場合に、所得税の特別控除を受けられるというもの。5年間に渡ってローン残高の一定割合の控除が適用されます。詳細は図1をご覧ください。

「あれ? どこかで見たことがある」と思ったとすれば、記憶力の確かな人ですね。そうです、昨年度の税制改正で創設された「バリアフリー改修促進税制」とほとんど同じ内容なのです。控除率、ローン残高の上限、控除期間、工事費用など、基本的な枠組みは変わりません。違うのは、リフォーム工事の内容がバリアフリーか省エネかの部分のみ(図2参照)。

図2.一定の省エネ改修工事とは?

 マンションの耐震偽装問題が吹き荒れた06年度改正では「耐震改修促進税制」、バリアフリー新法が施行された翌年の07年度改正では「バリアフリー改修促進税制」、そして地球温暖化を防止する京都議定書の温暖化ガス排出削減の目標期限が迫った今年度に「省エネ改修促進税制」が創設されたことで、いわば住宅性能向上を図る御三家が揃った形になりますね。

 ここで注意しておきたいのは「省エネ改修工事促進税制」では、適用期間が今年4月1日から年末までの正味9カ月しかないこと。また、バリアフリー工事と省エネ工事を同時に行う場合はどういう扱いになるのか。あるいは、リフォームをした場合に適用される住宅ローン控除との兼ね合いがどうなるのか。選び方や取り扱い方で控除額が変わってきます。これについては次回で詳しく検討します。

 なお、「住宅の省エネ改修促進税制」は固定資産税についても適用され、リフォーム工事をした翌年度の税額が3分の1減額されます(※)。

※減額対象は、床面積120m2分までが限度。また対象住宅は、賃貸住宅を除く2008年1月1日時点に存在した住宅で、2008年4月1日から2010年3月31日までに工事を行う場合。

長寿命化を誘導する「200年住宅促進税制」の創設

 今回、新たに創設された税制の2つ目が「200年住宅支援税制」(通称※)です。今後制定予定の「長期優良住宅普及促進法(仮称)」で定める超長期住宅ガイドライン(認定基準)をクリアすると、登録免許税、不動産取得税、固定資産税の減額が受けられるというものです(図3参照)。

 基準を決める法律自体がまだ未成立なため、詳細が明らかになるまでには少し時間がかかりそうです。自民党が07年5月に提言した「200年住宅ビジョン」に従って、今後、さまざまな措置が採られることになるでしょう。

※「長期耐用住宅(200年住宅)に係る特例」「住宅の長寿命化促進税制」「新築の長期優良住宅に関わる軽減措置」など、現段階では省庁によってさまざまな呼び方がある。

図3.「200年住宅促進税制」の特例措置

 また、時限措置となっていた特例の期限が、いくつか延長されました。「相続時精算課税制度の住宅取得資金に係わる特例」と「固定資産税の新築住宅に係わる減額措置」は2年間延長、「土地売買に係わる登録免許税の税率軽減」は3年間延長です。登録免許税については単純に期間が伸びるわけではなく、段階的に税率を上げて行き、4年後に本則税率に戻す形になっています(図4参照)。

図4.登録免許税の税率の軽減措置
来年度の大増税の布石が打たれている
十文字先生

 マイホームに直接かかわるわけではありませんが、注意を喚起しておきたい点が1つあります。税制改正大綱の最後のほうに(備考)として付記されていた「事業承継税制」という項目の中に、相続税の増税につながる種が隠されているからです。

 事業承継税制の改正については、新たに制定された「中小企業経営承継円滑化法」の施行に併せて、来年度の税制改正で「取引相場のない株式等にかかわる相続税の猶予制度」を創設すると大綱には記載されています。これは大幅な減額措置、いわばアメです。

 その一方で「相続税の課税を遺産取得課税方式に改めることを検討する」とも記されています。短い文章でさらりと触れられているだけですが、実はこの表現は、来年度に相続税制を抜本的に見直することを意味しているのです。
 しかも、これまでより幅広く相続税を課税するための布石となる、つまり大増税につながるおそれがあります。ここでは詳細は省きますが、今後の動きがわかり次第、本コーナーでもフォローする予定です。

 もう1つ、今年の確定申告にからむ注意事項があります。昨年度の税制改正で、国から地方への税源移譲に伴い所得税と住民税の税率配分が見直されました。これによって、ほとんどの人は所得税が減り、住民税が増えているはず。その結果、住宅ローン控除の利用者の中には、控除できる金額が減ってしまうケースが発生するのです。

 この場合に、一定の申告をすることによって、所得税から控除しきれなかった分を住民税から控除することができます。この調整措置を適用できるのは2006年末までに入居した人です。ケースによって控除額は変わりますので、心当たりのある人は一度専門家に相談してみるといいでしょう。



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