住宅ローンを知ろう > インタビュー

巻頭インタビュー 第3回

 

「有利に返す」テクニックを磨け!

 
紀平正幸(きひら まさゆき)氏
[プロフィール]
URL:http://kihira.com/
ファイナンシャル・プランナー(CFP)。心理カウンセラー。日本FP協会常務理事。FPジャーナル編集長。東京FPコンサルティング代表。個人のライフプランの作成と診断を始め、暮らしにかかわる幅広い分野について、テレビのコメンテーターや、公的機関、金融機関、企業、大学、一般生活者などを対象とした講演、執筆、個別相談を行うかたわら、大学付属病院の精神科病棟で心理カウンセリングのボランティア活動を行う。
 
 住宅ローンは借りるときだけ考えればいいというものでも、遅滞なく返していけばいいというものでもありません。いかに上手に返していくか。借りたあとのメンテンスも重要です。
 メンテナンスが必要な理由は2つあります。まずひとつめは、金利上昇リスクへの抵抗力をつけるため。変動型や固定金利選択型のローンを借り入れた場合、返済途中で適用金利が上がり、返済額が増える危険性があります。そんなリスクに対抗できるよう、ローンを改造していく必要があるのです。

     そしてもうひとつは、住居費以外の大型支出のためにも、ローン負担を極力小さく抑える必要があるためです。リストラやボーナスカット、さらに年金保険料をはじめとする社会保険料のアップ、先々予想される増税などにより、今後も収入が増えにくい状況が続くことが予想されます。その一方で私立学校志向の高まりや老後不安など、支出は大きくなる気配が濃厚です。これらのことから考えれば、ローンを有利な形に変えていくメンテナンスは不可欠、といえるでしょう。
 
 金利上昇による返済額アップというリスクは、残債額(ローン残高)が多いほど、大きくなります。返済額のアップを抑えるためには、残債を減らしておくことが必要です。
 残債を減らすのに効果的なのが、繰り上げ返済です。繰り上げ返済とは、毎回の決まった返済のほかに、臨時で任意に返済すること。繰り上げ返済した分は全額、元金の返済に回り、そこにつくはずだった利息がなくなる効果があります。繰り上げ返済後の毎回の返済額を少なくする『返済額圧縮型』と、返済額を変えずに返済期間を短くする『返済期間短縮型』が
    あり、後者のほうが、利息軽減効果は大きくなります。繰り上げ返済は残債が減って金利上昇リスクに備えられるだけでなく、利息負担を抑える効果も生まれる、というわけです。
 最近では繰り上げ返済を実行するために積立預金をしている、という人も少なくありませんが、あまり執着し過ぎるのも考えものです。病気などへの備え、教育費の準備などを考え、ある程度は預貯金を残すことも必要でしょう。
 先々の支出を予測し、どんなペースで貯蓄できるかなどを把握。そのうえで繰り上げ返済について判断するバランス感覚が大切です。

 
 住宅資金は教育費、老後資金と並ぶ人生の三大出費であり、住宅ローンについて考えることは、家計全体について考えることでもあるのです。
 金利動向によってローンそのものを見直すことも考えてみましょう。たとえば変動型のローンなら、金利が上昇しそうになった際に10年の固定金利選択型など、金利タイプを切り替えるのが得策です。
 公庫や年金、一部で登場している民間金融機関の長期固定型ローンを借りた場合は、返済中に借りているローンより低金利のローンが出れば、ローンの借り換えによって有利になる可能性も考えられます。

     返済が進んでいれば、残債額も減っているため、金利上昇リスクへの抵抗力もあり、より低金利な変動型や短期の固定金利選択型に借り換えることも可能です。
 金利タイプの選択や借り換えを上手に行なうためには、金利情勢やローン動向をつねに気に留めておく必要があるでしょう。
 きちんとメンテナンスをすることは、投資などによってお金を効率的に増やすことと同等の意味があります。返せればOK、という考えは捨て、いかに有利に返すかという発想を持ちましょう。
       
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